薬剤師の転職:製薬業界とCRO業界の違い 就職するならどちら? 臨床開発で携わる仕事の解説

業界事情

製薬業界メーカーとCRO業界(CRAモニター開発など)の違いを記事で解説します。薬剤師の就職先として、ドラッグストア、調剤薬局がとてもメジャーですが、製薬会社やCRO企業へ転職していく方もいます。しかし業界未経験者の場合、そもそも製薬業界とCRO業界の違いが判らない方も多いのです。そこでどのような違いがあるのかを記事にしました。

製薬会社はどのようなところなのか?

製薬会社とは、その名前の通り新薬を作るメーカーになります。製薬会社には研究開発、臨床開発、そして製造部門という3つの大きな役割で構成されています。研究開発はお薬の開発をする部門です。臨床開発は薬の臨床試験を担当する部門、製造部門は薬が承認された後の薬の製造を担当する部門になります。医師がいたり、MRも製薬メーカーで勤務しています。業務は専門性が高く、理系で研究の仕事になります。

CRO企業はどのような企業なのか?

CROは製薬企業から主に医薬品の患者の治験臨床開発の部分の仕事を受託している下請け会社という位置づけになり、サービス業に分類されることが多いです。CRO企業のほとんどはクライアントが製薬会社になり、実務に詳しい社員が多いです。CRO企業の場合は臨床開発に絡んだ仕事をしており、社員も臨床開発モニタリングやデータマネジメントなどの医療機関分野に詳しい職種で構成されています。施設で実施された被験者の治験データを取り扱い、安全性と有効性を分析ことになります。ちなみにCROはSMOではありません。

製薬業界とCRO業界の違いはどのようなものがある?

製薬業界とCRO業界の違いを説明していきます。以下がそれぞれの特徴ですので、どちらを選ぶかはあなた次第になります。しかしどちらの機関に所属するかでだいぶ変わります。面接活動、選考をするさいは参考にしてください。基本、大学や一般的な専門スキル、希望の詳細により難易度は変わります。

給料の違い

製薬企業の場合はCRO企業よりもとても安定しています。両者とも医薬品開発ですがヒット製品が生まれれば、収益が莫大になります。それに対してCROの場合は下請け会社になるため、利幅が小さくなります。そして体力差は給料でも明らかです。以下はマイナビの統計情報ですが、CRA(臨床開発コーディネーター)の給料には明らかな差があります。製薬業界の企業で働くほうが、やや高給傾向にあることが分かります。

製薬メーカー勤務約450万~800万円
CRO勤務約400万~750万円
参照元:マイナビ

安定性

安定性は製薬企業の方が上になります。理由は上でも述べた通り、メーカーになるためヒットした薬品が生まれると、利益は大きく伸びますが、CROの場合はサービス業になるため、仕事をうまくこなせたとしても依頼料が増えるわけでもありません。さらにサービス業であることから、利幅も低いため、どうしても会社自体が潤いにくくなります。今後もCROは新薬プロジェクトの仕事をこなし続けなければならないというデメリットがあります。

福利厚生、研修

上記に伴い、体力差は明らかなため、製薬企業のほうが福利厚生も充実します。それに対してCROはそもそも何もないことが多いです。そのため、CRO企業と製薬企業では明らかに待遇差があるのです。CRO企業では昇給もあまりしないことが多く、不満を抱えて転職していく方が多いです。研修を見ても教育面は製薬メーカーのほうが圧倒的に充実しています。

仕事内容

近年製薬会社はCRO企業に対して外部委託する傾向にあり、社内がガラガラになっており、管理職のような方がとても多くなっています。管理職はCRO企業の納品チェックや、品質の確認を行います。CROは臨床開発における実務を行うことがほとんどで、管理職は不要であることが多いです。そのため実務をしたい方はCRO、管理をしたい方は製薬企業がいいでしょう。

年齢層

製薬会社は年齢層が高いことが多いです。これは離職率が低いということも関係ありますが、ある程度CROで実務経験を積んだ方が転職をしてくるケースも多いからです。それに加えてCROの場合は実務経験がない方が入ってきたりするケースが多いため、若い年代が比較的多めです。

男女比

男女比は製薬企業でもCRO企業でもそれほぼ差がありません。ともに男女比は半々ぐらいになっており、とてもバランスが良いです。そのため社内恋愛が多いことでも知られている業界です。実際に社内結婚をするカップルは多数生まれています。看護師、臨床検査技師、CRCコーディネータースタッフからの転職も多いです。

就職の難易度

就職の難易度は明らかにCROののほうが簡単です。CRO企業の場合は未経験者でも入社できることが多いです。これはCRO企業の人材の流動が激しいという一面があるからです。それに対して製薬企業はある程度経験を積んだ中堅クラス以上が多いため、転職するには難易度が高くなります。それ以外だと製薬会社は新卒採用を重視しています。また近年は製薬会社が外注化を進めており、採用枠がどんどん減っています。CROはそれに対して積極的に採用していることが多いです。

離職率

離職率は残念ながらCRO企業のほうが圧倒的に高いです。これはCRO企業の悪習なのですが、CRO企業は長年勤めても昇級も昇給もすることがほとんどありません。そのため、不満を抱えやすい構造になっており、辞める社員が多いのです。これに対して製薬企業はとても充実しており、昇給もしていきます。会社を辞める方は起業していったり、隠居生活をしていく傾向にあります。

英語

製薬メーカーでもCROでも英語力は問われます。その中でも外資企業はSOPがそもそも英語であったり、英語で会議、contract手続き、承認申請をすることも当たり前なので、外国語の素養は必須です。内資の場合はあまりできない方も多いです。疾患治療に興味があり、機会を狙っておりチャレンジしたい方にはお勧めの業界です。

仕事量

仕事量としてはまだまだ製薬企業のほうがのんびり働くことが可能となっています。これに対してCRO企業の場合は請負っている仕事に納期が必ず発生していますので、複数の仕事が重複してしまうと、どうしても深夜残業も発生する時期があります。場合によっては忙しいし、暇な時期はとことん暇なのがCRO企業となります。

就職するならどちらが一番良いと言える?

以上のような実態がありますので、製薬企業かCRO企業か、悩む人が多いでしょう。どちらかに対して正解はありませんが、未経験であればまずCRO企業からキャリアスタートするのがいいです。経験者は実務をしたければCRO、管理をしたければ製薬企業がいいです。ただし、どちらの場合も企業の数がそれほど多くないのです。就職する際は転職エージェントのサポート支援を活用したほうがいいです。転職エージェントは無料で使え、日本全国の求人を保有しているため、探す手間が省けるからです。

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